社労士独学合格の勉強法③(労一にいかに立ち向かうか)

独学で社労士試験合格を目指す方に向けて、実質7か月の勉強期間で独学合格した私の勉強法をご参考までにお伝えできればと思います。

今回は、いわゆる労一と言われる「労務管理その他の労働に関する一般常識」。

一般常識科目はその対策の立てにくさから「社労士試験の鬼門」と言われているようで、十分合格レベルにある受験生でも労一や社一(社会保険に関する一般常識)の選択式で2点以下を取ってしまい不合格、ということが非常に多いみたいです。

私が受験した第54回(2022年度)の試験では、合計点では十分な点を取っているのに社一の選択式で自己採点3点に満たなかった方々が多かったようで、救済(合格基準点の引き下げ)の有無についてSNS上での議論が盛り上がっていました。

私はと言うと、「選択式労一:3点」、「選択式社一:4点」、「択一式:5点」とギリギリ足切りラインを上回った程度ではありましたが、労一、社一ともそんなに苦手意識はありませんでした。

というのも、特に労一に関しては「対策の立てにくさ」というのは本当にそのとおりなのですが、過去問の出題傾向がかなり偏っていたので、ポイントを絞って対策を行い、ポイントから外れたところは早々に見切りをつけ、「本試験でそこが出たら仕方ない」と割り切ってしまいました。

労一の対策

労一は大きく「労働関係法令」、「労働経済(白書、統計資料)」、「労務人事管理」に分類されています。それぞれ分類ごとの私の対策をご紹介します。

労働関係法令の対策

労働関係法令のテキストを見ると、その法令の数とそれぞれの法令に関する記述量に、「え?こんなに?勘弁してよ」と気が滅入りますが、択一式の過去問をみれば出題数が極端に少ないことが分かると思います。

なので、私は労働関係法令に関してはほとんどを捨て分野とし、過去問での出題数が多い「労働契約法」と個人的に興味があった「労働組合法」だけは最初にテキストを精読しましたが、他の法令は受験期間を通じて結局一度も通読すらしておらず、問題に出てきた部分だけを確認する程度の労力しか割きませんでした。

具体的な択一式対策としては、一問一答式の過去問10年分(とっても90問程度しかないのですが)を4回繰り返したのと、「月刊社労士受験」巻末の全科目総合テスト12か月分(といっても労一に関しては5問/月×12カ月=60問しかないのですが)を2回繰り返しただけです。

また具体的な選択式対策は「月刊社労士受験」巻末の全科目総合テスト12か月分(5問/月×12か月分)を2回繰り返しただけです。

労働経済(白書、統計資料)の対策

労働経済(白書、統計資料)対策が労一対策のメインになりますが、テキストや過去問による対策は意味をなさないことから、独学者にとってはどう対策したらいいのか本当に難しいと思います。

実際に白書や統計資料を読み込めばいいのかというと、出題される可能性のある白書や統計資料が膨大なため、出題ポイントが分からないことには、それも意味がないようにも思います。

また、ただ読むだけでは記憶を定着させることは難しく、やはり問題演習が必要となります。

そこで私は試験直前期に「月刊社労士受験」2022年6月号(法改正と白書の重要ポイント特集)と2022年7月号(法改正と白書の重要ポイント問題演習編)を使って、「6月号を読んでから7月号の問題演習を行う」というのを2回繰り返しました。

また、問題演習を行う際は常に「自分の感覚と照らし合わせてどうか」とか「なぜそのような数値や傾向になっているのか自分なりのストーリーを作る」という意識を持つことで、記憶の定着の一助になったと思います。

といっても、そんなに難しことを考えていたわけではありません。

例えば「完全週休二日制を採用している企業の割合は48.4%、何らかの週休二日制の適用を受けている労働者の割合は6割を超えている」という論点を見た時に、「世の中もっと完全週休二日制が定着していると思ったけど、5割未満かぁ。サービス業とか飲食業ではまだまだ週休二日制とか難しいのかなぁ」とか「企業の割合は5割未満なのに労働者の割合は6割を超えているってことは、従業員数が多い大企業ほど完全週休二日制になってるってことだろうな、たぶん。」とか、そういうことを考えながら問題を解いていくだけで意外と記憶に残っていったと思います。

労務人事管理の対策

企業における評価、処遇制度、等級制度などに関する一般常識ですが、さすがに15年も労務人事部門に在籍しているのでテキストに書いてあることは一通り知識として持っており、私自身は何の対策を行いませんでした。

全く初見という方でも、過去問での出題頻度を考慮すればそれほど労力を割く必要はなく、テキストを読み、見慣れない用語がどのような意味かを把握する程度でいいと思います。

労一は割り切りが大事?

択一式では、労一と社一合わせて10問の出題で、仮に労一が全くダメでも社一で4点を取れば足切りを免れることができます。

社一は労一と比較すればまだ勉強しやすいと思いますので、択一式に関しては、労一はある程度見切りをつけて、その分の労力を社一に割く、ということも試験対策としては有効かもしれません。

独学での社労士試験合格を目指す皆さんの労一攻略の参考になれば幸いです。

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