社労士登録要件「2年以上の実務経験」とは

対象となる「実務経験」

社会保険労務士になるための資格として社会保険労務士法第3条には以下のとおり規定されています。

(資格)
第3条 次の各号の一に該当する者であって、労働社会保険諸法令に関する厚生労働省令で定める事務に従事した期間が通算で2年以上になる者(以下略)
一 社会保険労務士試験に合格した者
二 (以下略)

で、厚生労働省令で定める事務とはなんぞ?って話ですが、労働組合の専従役員経験のないサラリーマンに関係ありそうな部分だけ社会保険労務士法施行規則を抜粋すると

(社会保険労務士の資格)
第1条の11 法第3条第1項の厚生労働省令で定める事務は、次のとおりとする。
一~三 (略)
四 (略)会社その他の法人(中略)の従業者として従事する労働社会保険諸法令に関する事務(特別な判断を要しない単純な事務を除く。)
五~七 (略)

いや、これでもよく分からんのだが、ってことで、先日、合格証書と合わせて送られてきた「社会保険労務士の登録申請について」という文書みると具体例が添付されてました。それがコチラ

  • 雇用保険、健康保険、厚生年金保険の被保険者資格取得届・喪失届に関する事務
  • 健康保険、厚生年金保険の被保険者報酬月額算定基礎届・月額変更届に関する事務
  • 雇用保険被保険者離職証明書の作成
  • 労働保険の概算・確定保険料の申告・納付に関する事務
  • 就業規則(変更)届に関する事務
  • 時間外労働・休日労働に関する協定届の作成
  • 労働者名簿の調整

むむむ、、、労務人事部門に15年も在籍してるくせに、どれもやったことないんやが。

唯一「就業規則(変更)届に関する事務」だけはギリやったことあると言えそう。。。。

「事務」とは?

そもそも「事務」とはなんぞ?

例えば従業員を雇い入れた際に雇用保険の資格取得届を作成・提出するという業務を担当しているとしたら、それは「実務経験あり」と言えそうですが、、、でも、社会保険労務士法施行規則には「特別な判断を要しない単純な事務を除く」とあって、、、この辺りの大半の業務ってほとんどルーチン化されていて、日々の業務に特別な判断を要する機会って少ないのでは・・・・

では、特別な判断を求められる立場として上記に掲げる事務を行うというと、課長とか係長くらいの肩書がないとダメなの?いや、でも課長なんて部下が作成した書類を承認しているだけで「実務」をやっているとは言えないんじゃないか?とか思ったりして。。。。

そんな疑問をもってネット界隈を徘徊していたら、「立場や役職どうこうではなく、労務管理、勤怠管理、帳簿作成などに少しでも関わっていたのであれば連合会に問い合わせてみればよい」と書いてあるサイトがあり、まぁそうなのかなとやけに納得しました。

どのような形で業務に関わっていれば「実務経験あり」と言えるかを明確に定義することなど、会社ごとに組織・業務の在り方が異なる中では到底不可能な話。

自分が自信をもって「当該事務の実務経験あり」と言えて、会社が「確かに責任ある立場で当該事務を担当した者である」と証明してくれればそれでいいのでしょう。たぶん。知らんけど。

自分経歴の棚卸してみました

じゃ、自分はどうなのかと。労務人事部門に15年も在籍しているのだから、その間のキャリアの棚卸でもしてみたら、実は2年以上の実務経験クリアできたりするんじゃない、実は。

事務指定講習を修了するには来年9月までかかってしまいます。もしも2年の実務経験という要件をクリアできるなら、事務指定講習受講者よりも10カ月も早く動き出せるのですから、念のためチェックしてみるかってなもんで自分の職務経歴を書き出してみました。

・入社5~6年目
 労働組合との交渉窓口担当。会社と労働組合の労使交渉における会社側窓口担当として、団体交渉前の下交渉を行ったり、労働条件や働き方に影響のある施策を行いたい社内の各部門と労働組合との間に立って調整、交渉を行ってました。

・入社7~10年目
 福利厚生制度担当。福利厚生制度全般がより良いものとなるように、福利厚生制度全体のグランドデザインを描いたり、個々の制度の改定、新設などに取り組んでいました。
 この時期に東日本大震災があり、それ以降は、保養所や社宅など箱モノの廃止や売却ばかり行っていました。

・入社11~13年目
 人事部全体のKPI設定や進捗管理、予算管理、組織・要員管理、内部統制、若手人事部員の教育など、人事部を運営するための業務を担当していました。

・入社14~15年目
 地域の経営者協会(経団連の地方下部組織)に出向しました。団体運営に関する業務が主でしたが、2年間の出向期間中に「今後のあるべき高年齢社員の処遇」に関するレポートを執筆し、会員企業に一部500円で売り付けたりしていました。

・入社16年目
 子会社設立のプロジェクトに人事分野の担当者として参画しました。従業員4千人強、売上高3~4兆円規模になる見込みの新会社設立に向けて、共同出資先やコンサル会社などとともに新会社の人事・労務諸制度の作りこみを行いました。

・入社17~入社20年目の現在
 子会社設立直前の準備会社に出向し、就業規則や勤怠管理・旅費・健康管理業務などの規程類を作成したり、各種システム整備やデータ移行をしたり、会社設立のための準備を行いました。
 子会社設立後はそのまま子会社出向となり、人事異動、人事考課、昇進・昇格などの運用を確立し実際の運用を担当しています。。で、現在に至るっと。

むむむ、、こうして書き出してみると、やはり労働社会保険諸法令の実務など何一つ知りません。

今現在出向している会社の就業規則を実際に手を動かして書いて、従業員代表の意見書を取って、社労士に労基署への届出をお願いする、というのが唯一の該当事務の実務経験。ですが、新会社設立直前のバタバタの中で2~3か月のやっつけでの出来事なので、到底2年には足りない。。。。

やはりここは大人しく事務指定講習を申し込みます。

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